恋文〜先生へ綴る想い

「えー、そんなことないよぉ…!4月27日って、“幸せになれる日”じゃない…?!すっごいイイ日だよー!」



私がとっさに抗議すると、



「あー、そう考えればいいのか…。俺、自分はずっとなんて不幸な日に生まれたんだって思ってた」



先生はそう言って左手で頭をかいた。



「そんな、不幸な日だなんてとんでもないよ…!すっごくイイ日じゃん…!」



先生と同じ日だって思っただけで、私にはホント自分の誕生日がこの上なく素晴らしい日に思えた。



そっか、


私達、同じ日生まれなんだ…。



なんか運命感じちゃうな…。




ニヤニヤする私をよそに、先生は「それよりお前んちどこ?」と訊いてくる。



全く、先生は乙女心がわかってないなあ…。





適当に道案内をすると、残念ながら車はすぐ家に着いてしまい、


先生はまたなと言って、あっけなく雨の中に消えていった。




それでも私は嬉しくて嬉しくて、


先生の車を見送りながら、ひとり幸せな気分に浸っていた。
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