恋文〜先生へ綴る想い
立ち止まった先生に追いつき、その顔を見上げる。
こんなふうに先生と時間を共有できるなんて、
私ってすごい幸せ者だなあ…。
また顔をにやけさせていると、
「なんだ。意外と元気じゃん」
ふとこっちを向いた先生が言った。
「え…?」
私が訊き返すと、
「ほら…、カス、文化祭の日からあんま元気なかっただろ…?何かあったかなって思ってたんだけど、俺の思い過ごしか」
先生は腰を下ろして、青い空に目を細めた。
「いえ、あの…、別に先生の思い過ごしじゃないですよ…。確かに私、へこんでましたから…」
先生の横にゆっくりしゃがむと、私は右手の人差し指で砂の上に落書きを始めた。
「ごめんなさい…。文化祭の日はちょっとショックなことがあって、とても演技に集中できるような心境じゃなかったんです」
「そっか…」
先生は私にやさしく訊いてくれた。
「一体何があったわけ?」
「え…」
私はゆっくり顔を上げた。