恋文〜先生へ綴る想い
「俺の彼女、やっぱ高校で先生をしてるんだけど、最近何かすれ違い生活でさ…。全然相手にされてないって感じ…?」
「へー、そうなんですか…」
先生の意外な言葉に、拍子抜けするように胸を撫で下ろすと、
「むしろ最近はカスの方が俺の相手をしてくれてるよ」
先生はそう言って笑った。
「え…」
さっきまでとは違う意味でまた心臓が高鳴る。
「ま…、こーしてお前と話してる方が気が楽だし、それはそれでいーんだけどね」
先生は再び立ち上がると、私を置いて波打ち際へと歩いて行った。
「先生…?」
先生の背中を慌てて追いかけると、先生はいきなり立ち止まってこちらを振り向いた。
「なんかさ、自分がしんどいときにこーやって誰かが側にいてくれると、すごくありがたいよな」
「えっ…」
逆光でよく見えなかったせいもあるかもしれないけど、先生の表情には心なしか少し憂いが見えた。
「こーして一緒に出かけてくれたり、まともに自分の話を聞いてくれる人のことって、ホント大事にしなきゃいけないよな…」
「先生…?」