小悪魔男子
小悪魔、襲来
ハジメマシテ
―――彼は、あたしが9歳のときにやって来た。
「隣に越してきた田原です。色々とご迷惑をおかけすると思いますが…」
玄関先であたしの母親と、同じ位の年の女の人が話している。
あたしはと言うと、そんな話よりも、タハラサンの後ろに隠れている
小さな男の子に興味があった。
「あ、うちの娘の沙菜です。
ほら、ご挨拶しなさい」
ようやくあたしの存在を思い出した母から促され、
「長谷 沙菜(ナガタニサナ)です。宜しくお願いします」
と礼儀正しく言った。
「そう、沙菜ちゃんは何歳かな~?」
ニコニコと素敵な笑顔で訪ねて来たタハラサンに「9歳です」って、こっちも笑顔で答えた。
「じゃあうちの子とは6つも違うのね~」
< 1 / 346 >