小悪魔男子
制服を丸めてロッカーに押し込む。
「ねぇ…真希」
「ん?」
あたしとは対照的に、丁寧にたたんでから仕舞っている彼女の方を見ながら尋ねた。
「和樹はどんな顔で教室に戻っていったの?」
「…普通だった
……って言ったらウソになるかな。落ち込んでるのは分るくらいだったし。
でも、そんなに気にしてないみたいだったよ?だから周りもさなが振られた側だって勘違いしたんでしょ。
だからあんたもあんまり気にしないでよ、ね?普通に、普通に!
さ、遅れちゃうよ。行こう」
…体育のバレーボールをやりながら
真希に言われた”普通”と言う言葉が頭から離れなかった。
”普通”ってどうやればいいんだっけ。
いつものあたしってどういうこと?
それから
考えれば考えるほど分からなくなって、今日一日何をしても演技に思えた。
こんなんじゃ駄目だな…。
結局和樹とも1度も話してない。
明日は普通に接することができますように…。
自転車をこぎながらそう願った。