小悪魔男子
なんとなく遅いペースで走る和樹に合わせて、あたしもゆっくりと足を踏み込む。
今は5月だって言うのに、汗ばむくらい暑い。
「なぁ。」
「…ん?」
沈黙を破った和樹に顔を少し向ける。
「…大和って奴にさ、ちゃんと迷惑だって言えよ?」
いつにも増して真剣な目で見られたあたしは
ただ 「うん」としか言えなかった。
でも
あたしは大和を拒むなんてできない。
大和はきっと、本当の姉を見るような目で見ているんだと思うから。
ただ甘えたいだけ。
そう思うと
彼が愛おしく思えてしまうから―――――――…………。