小悪魔男子
彼女がこんなに取り乱すとは思わなかったあたし達は、真希が泣きやむまで静かに見守った。
「…ごめん。
さっきはあんなこと言っちゃって…。
今まで誰にも相談なんてしたことなかったの。辛い気持ちを言葉にするとますます辛くなりそうな気がしてた。
でもそれってただ逃げていただけだったんだよね?
気付かないようにして、悩みなんて何にもなかったことにする。昔からそうしてきたから…相談できなかったんだと思う。
ゴメンナサイ」
「…いいのよ。あたしこそごめんなさい…殴っちゃって…。痛かったでしょう?」
薫ちゃんも泣きそうになっている。
真希は首を横に振ってほほ笑んだ。
「ううん。
ありがとう…。こんなに親身になってくれるのはみんなだけだよ。なんか話したらスッキリした!!
こんなことならもっと早く相談すればよかった」
「神楽先生とは連絡取ってるのか…?」
今まで黙っていた和樹が質問する。
「ううん、電話しても繋がらないし…メールも返ってこない。
きっと奥さんに責められてるんじゃないかな。
どうしよう…あたしのせいで別れたら」
そう言ってまた俯いてしまった。