小悪魔男子



彼女がこんなに取り乱すとは思わなかったあたし達は、真希が泣きやむまで静かに見守った。



「…ごめん。


さっきはあんなこと言っちゃって…。



今まで誰にも相談なんてしたことなかったの。辛い気持ちを言葉にするとますます辛くなりそうな気がしてた。

でもそれってただ逃げていただけだったんだよね?


気付かないようにして、悩みなんて何にもなかったことにする。昔からそうしてきたから…相談できなかったんだと思う。


ゴメンナサイ」


「…いいのよ。あたしこそごめんなさい…殴っちゃって…。痛かったでしょう?」



薫ちゃんも泣きそうになっている。


真希は首を横に振ってほほ笑んだ。



「ううん。

ありがとう…。こんなに親身になってくれるのはみんなだけだよ。なんか話したらスッキリした!!

こんなことならもっと早く相談すればよかった」




「神楽先生とは連絡取ってるのか…?」




今まで黙っていた和樹が質問する。


「ううん、電話しても繋がらないし…メールも返ってこない。

きっと奥さんに責められてるんじゃないかな。


どうしよう…あたしのせいで別れたら」




そう言ってまた俯いてしまった。







< 131 / 346 >

この作品をシェア

pagetop