小悪魔男子
ズ…………
あたしの目にはスローモーションの様に写っていた。
地面には包丁が胸に突き刺さったままぐったりと倒れ込んでいる大和。
顔は苦痛で歪み 血がだらだらととめどなく流れていた。
何が起きているのか 理解できなかった。
「ッ………!!
きゃぁぁぁぁ-------―っ!!!!!」
叫び声にハッとする。
彼女が叫んだのだ。
あたしは大和を抱えるようにし、呼びかける。
「ねぇ…大和…?
どうなってるの?血が、いっぱい…。
起きてよ…ねぇ、起きてってば!!」
いくら揺すっても何の反応もなかった。
「さなッ!!!!!」
呼ばれた方には真希の姿があった。
「真希…大和が…」
彼女は彼と、顔を抑え座り込んでいる先生の奥さんの姿を交互に見たあと、冷静にケータイを取り出し電話をかけた。