小悪魔男子






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―さな―





手術から10時間後、大和は目を覚ました。




いち早くそれに気づいたのは大和のお父さんだった。もう夜が明けて、廊下がにぎやかになってきた6時半の事だ。






「え…起きたんですか!?」



家で心配していたあたしに電話が入った。


病院から、付き添いは家族だけとしつこく言われたからしょうがなく帰って来たんだ。




『そうなの!起きてすぐに”さなちゃんは?”なんて言うもんだから、早速電話したのよ。

もう元気になったみたいでご飯が食べたいって。

まだ傷口に負担がかかるからダメって言ったら拗ねちゃってるの。…もしよかったらお見舞いに来てくれるかしら?


午前中は術後の経過を見るから面会謝絶になるんだけど、午後からなら会えるわ。

どうせ学校に行かなきゃならないものね』




嬉しいのか、本当に明るい声で喋りまくる大和のお母さんに 密かに笑みがこぼれた。





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