小悪魔男子
――――放課後。
薫ちゃんの提案通り、花束を買って 大和が入院している病院に向かった。
看護士さんに教えてもらった病室に行きドアをノックする。
「―――はい?」
中からは大和のお母さんの声がした。
「失礼します。お見舞いに…」
「さなちゃん!!!」
扉を開けた途端にかけられる声は嬉しそうな大和のものだった。
「大和…!よかったね…!!元気そうで安心した」
あたしも笑顔で応える。
「さなちゃんが無事で本当によかった。
倒れながらそればっかり思ってた…って、なんで二人がいるの?」
そこまで言って、やっと和樹達の存在に気付いたみたいだった。
「こら!せっかくお見舞いに来て下さったのに、なんてこと言うの。
ごめんなさいね、椅子があるから座って?」
「大和君のお母さまですか?
あの、あたし薫と言います!以前から大和君とは仲良くさせていただいていて…」
「は…?はぁ……」
薫ちゃんはお母さんの手を握る勢いで近寄った。
びっくりしてる大和のお母さん。
きっと薫ちゃんの全てに驚いているんだろう…。