小悪魔男子
「これ、あたしが選んだんです!」
そう言って薫ちゃんは花束を渡した。
「まぁ、わざわざありがとう…。綺麗ね。
せっかくだから飾らせてもらうわね?」
大和のお母さんはそう言って花瓶を持って出て行った。
「はぁ~…。大和君に似て可愛いお母さまね…」
「…お前にビビってたぞ?」
和樹が一言言うと、また薫ちゃんに殴られていた。本当に進歩の無い二人だ。
…まぁ、一時気まずそうにしていたのがなくなったのはいい事だけど。
「二人とも、何しに来たの??…特に和樹…」
大和がうるさそうにしながら呟いた。
「あら、うるさくしてごめんなさい!
静かにするから追い出さないで頂戴ね!?」
謝る薫ちゃんとは反対に、和樹は最後の言葉にカチンときたみたいだった。
「せっかく見舞いに来てやったのに」
「頼んだ覚えはないね」
二人揃ってフン、とそっぽを向いてしまった。
「あ~もう!!二人とも、今ぐらいは仲良くしてよね!?」
こんな時にまで喧嘩されちゃたまんない。