小悪魔男子
しぃんとする室内。
すると溜め息が聞こえ、大和のお母さんが口を開いた。
「…事情は分かりました。
私はあなた達や奥様を責めるつもりはありません。
大和もそうでしょう?」
問いかけられた大和も同意し、頷いた。
「別に僕を狙ってた訳じゃないし。反省してるなら、それでいい」
「…だそうよ。この件で、あなたが謝る必要は無いの。
それより…
あなたは彼女と奥様のどちらを選ぶの?」
ビクン。
先生と真希の身体が跳ねた。
避けてきた結論を今ここで出さなければならない状況になったから。
「それは…
彼女には申し訳ないが…
学校を辞めて、妻が家に帰ってくるまで側にいてやろうと思っています。
これから妻は益々つらい立場に置かれるでしょう。
それを夫として支えなければ…。
真希…
本当に申し訳ない…」
先生は、今度は真希に向って頭を下げた。