小悪魔男子












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「グス…ッ……」



「さなちゃん、もう泣きやんだら…?」






外はもう日が暮れていた。



先生が出て行ってからもう3時間は経っている。


和樹と薫ちゃんは、「あんまり長居しちゃ悪いから」って、1時間位前に帰って行った。


大和のお母さんも用事があるからと30分ほど前に帰って行ってしまった。



その間、ずーっと泣きっぱなしのあたし。



たまに来る回診では看護士さんたちに何があったのかと聞かれまくった。



「それとさぁ、もっとこっち来なよ」


ベッドから出られない大和が言ってきた。


「…やだ。泣き顔見られたくないもん」


「だって、もうすぐ面会の時間終わりだよ?ずっとそんな端っこにいたら、何しに来たのか分んないよ!」


「………」



確かに。



見舞いらしい見舞いは最初の5分くらいしかしてない。






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