小悪魔男子
堕天使の涙
今日は夏休みもあと少しに迫った7月19日。大和が入院して1ヶ月が経過した。
お医者さんの話だと、回復力が異常に速くて 夏休み前には退院できるかもと言われていたんだ。その予想は見事に当たり、ついに明日退院することになった。
「僕、化け物みたいに言われてるけど、本当は咄嗟に急所を外すように避けたからだって言われたんだからね!」
「はいはい。もう分ったから!荷造りしないと明日に間に合わないよ?」
日曜日で暇を持て余していたあたしは彼の為にせっせと荷物をバックにつめる。
当の本人はと言うと、お見舞いのお菓子やフルーツをこれでもかと口に詰め込んでいた。
「はっふぇ~。ふぉれはへふぃゃははいほ、ひほふひはっはふほん」
「は?何て?」
ごくん
「…だからぁ、これ食べちゃわないと荷物になっちゃうんだもん!
荷造りは僕でもできるから、さなちゃんもこっち来て食べるの手伝ってよ!!」
ベッド脇の小さな棚に入りきらないほどのお菓子の山。
誰がこんなに持ってくるのかと言うと…
「…”ミヤビより”…?」
可愛らしい包装紙に包まれた、手作りらしきクッキーの箱から出てきた小さなメッセージカードを発見してしまった。