小悪魔男子
「はぁ…」
明るい部屋に見える2つの人影を見てため息を吐く。
大和が退院してから一週間が経とうとしていた。
つまり、華耶さんと同じ家で済むようになってから一週間。その間ずっと、あたしはストーカーの如く彼の部屋をちらちらと見ていた。
ってか、もうれっきとした犯罪者だよね、これ。
部屋から見える彼の部屋。それがこんなにも辛いと思ったことは一度もなかった。
だって、毎日見る度に 大和の他にも誰かが居るのが分るんだもん…。
それが誰なのかなんて分かり切ってる事だから、わざわざ本人に確かめてはいない。
っていうか、聞けないよ。
学校にも通い始めたんだけど…
大和は今、朝ごはんを食べに家に来ることはなくなっていた。
華耶さんが作ってくれるんだって……。
「勝ち目…無いよなぁ…」
美人で頭がよくて運動神経もよくて、おまけに家事もできる。
あたしには何一つ持っていないものばかり、彼女は手に入れているんだ。
このままじゃ、”大和の彼女”っていう立場も失いそうだった。