小悪魔男子




顔を腕で覆う様にして泣いていたら


頭の上から 「さなちゃん」と声をかけられた。



見なくてもわかる。


大和だ…。


「色々…ごめんなさい。話しがしたくて…」


まさか来るとは思わなかったから、驚きで涙が止まる。


ず…


鼻水をすすって顔を拭う。


「話しって、何」




…今までにこんな素っ気ない態度なんてしたことなかったよね。


ホント、自分でも可愛くないと思う。




――あたしはただ大和の愛に応えたかっただけ。


だから、今回の事だって


反省してくれればそれでいい、なんて考えてた。


どんな事でもきっと許せると思ってたんだ。


お母さんの真似をしてるんじゃない。自分の本当の気持ちなんだよ?


ただの浮気なら


本当に好きなのがあたしだけなら


謝ってくれれば許すのに。




…大和が『ごめんなさい』と言ったのは浮気にじゃなかった。



「ごめんなさい。





僕と、別れて?」







大和なんて



二度と好きにならない。







< 209 / 346 >

この作品をシェア

pagetop