小悪魔男子
顔を腕で覆う様にして泣いていたら
頭の上から 「さなちゃん」と声をかけられた。
見なくてもわかる。
大和だ…。
「色々…ごめんなさい。話しがしたくて…」
まさか来るとは思わなかったから、驚きで涙が止まる。
ず…
鼻水をすすって顔を拭う。
「話しって、何」
…今までにこんな素っ気ない態度なんてしたことなかったよね。
ホント、自分でも可愛くないと思う。
――あたしはただ大和の愛に応えたかっただけ。
だから、今回の事だって
反省してくれればそれでいい、なんて考えてた。
どんな事でもきっと許せると思ってたんだ。
お母さんの真似をしてるんじゃない。自分の本当の気持ちなんだよ?
ただの浮気なら
本当に好きなのがあたしだけなら
謝ってくれれば許すのに。
…大和が『ごめんなさい』と言ったのは浮気にじゃなかった。
「ごめんなさい。
僕と、別れて?」
大和なんて
二度と好きにならない。