小悪魔男子
ーさなー
別れて と言われて泣くことしか出来なかった。
「短い時間だったけど
本当に楽しかったよ。…でも、やっぱり…
お隣同士で居る方が二人にとって一番良いと思うんだ。
だから…
ごめん」
ごめん、と大和はまた謝った。
あたしはきっと、この現実を受け止めるまで長くかかると思う。
…気付かないと思ってるの?
声、震えてるよ?
言葉が決められた台詞に聞こえるよ?
勘違いなんかじゃない。
大和は まだ私を好きでいてくれてる。
それでも、別れなくちゃいけないの…?。
「じゃあ、ね」
そう言って駆け出す彼を引き留めようとしたけど
これは彼が決めた事なんだ、と考え直した。
あたしと居られなくなる事を選んだのだからそれなりに覚悟はあったはず。
なら、あたしもそれに従うしかないんだよ。
何も出来ないあたしだったけど
「ありがとう…」
一緒に居てくれて
本当にありがとう。
砂利でが敷き詰められてできている私の居る場所の地面。
彼の居た場所に落ちていた、濡れている2粒程の小さな石を見つめながら
そう思ったんだ。