小悪魔男子
華耶の束縛は相変わらずだった。
マシになっても
ヒドくなってもない。
俺は 出来ることなら前者を望んでいたけど
それも願うだけ無駄なんだ。
「ねぇ大和。
キス してよ」
「…言っただろ。
俺はお前を好きにならない」
言い捨てて 財布だけを掴んで家を出る。
夏休みも終わりそうなのに、華耶のやる事と言ったら
夜遊びに出掛けるか
俺を押し倒すだけ。
教師の休みなんて、お盆だけだろう?
もっと健全な事に時間を使えよ
と毒づいた。
母さんも華耶の行動と言動には手を焼いていて
「いくら親戚でも面倒見切れない」
と言った事がある。
それは、朝方、警察に抱えられて家に帰ってきた時の事だ。
何でも酔っ払って、店で暴れた挙げ句
睡眠薬を併用して倒れて警察病院で治療されたらしい。
身元の分かる物を持ち歩いていなかった為
本人が起きてから家の住所を聞いてここまで運んで来たのだ
と若い警官が言う。
「や~ま~とっ♪」
…酒臭い。
触るな 触るな 触るな
汚らわしい 汚らわしい 汚らわしい
心のトゲは その本数を増していく。