小悪魔男子





「…大丈夫?」



頭を押さえている彼女に尋ねた。


バッっと、勢いよく振り向かれて少し驚くが、それでも何も言わないさなちゃんの名前を呼んでみる。



「大和…。何でここに…」



よほど困惑しているのか。質問の答えを言わない彼女の身体を調べて、保健室に連れていく。


が。



「ま…待って…ッ」



呼び止められて謝られた。こいつらがさなちゃんを突き飛ばしたのか…?


怒りをあらわにしかけた時、綺麗なドレスを着た彼女が口を開いた。


「…いいよ。大した怪我してないし。

…本当に好きなら、相手の幸せを願う事だって出来るはずだよ。

じゃー…ね」




そしてその場を後にした。





保健室に着く間、一言も発することは無かった。



俺も声をかけられない。




それはさなちゃんが辛そうな顔をしていたから。



きっとさっきの言葉が彼女の中でリンクしていたからじゃないだろうか、と自惚れた想像をする。



それが外れていなかったら…



さなちゃんは、俺の幸せを願ってくれてるの……?





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