小悪魔男子
「たっだいま~!」
学校から急いで帰ってくると、お母さんが夕飯の支度を始めていた。
「お帰り。
大和くん、部屋に来てるわよ?」
「あ、もう来ちゃったんだ!分かった」
駆け足で階段を上る。
「ごっめーん!テストの事で先生に捕まっちゃってさ!…って、大和…
泣いてるの?」
大和はベッドの前に体育座りをしてうずくまっている。
あたしは扉を閉めて、そばに座る。
「何かあった…?」
「………うちに帰ったら…珍しく母さんと誰かの靴があったんだ。
中に入って、名前を呼んだんだけど返事がなくて…。
2階に上がってみたら……
母さんと知らない男の人が………」
「もう良いよ…」
「どうしよう。
本当に僕、居場所がなくなっちゃう…
必要なくなっちゃうよ…」
そう言って抱きついてきた大和の体は震えていた。
「大丈夫。あたしは大和を必要だと思ってるから…。
だからあんまり泣かないで?」