小悪魔男子
「でも。笑ってないと泣いちゃいそうだから」
そう言ってまた笑顔を作った。
「ゴメンナサイ…。あたし…彼がこっちに気付くなんて思ってもいなくて。
必死になってアドレスをゲットしようとするなんて…。バカだったわ。
…元々光君はさなにアドレスを聞きたかったんだって分かってたの。だけど…」
「薫ちゃん。もういいから。
それに光君とのメールも楽しいしね?」
すっかりしょげてしまっている薫ちゃん。そんなに光君が好きなんだね。
そう思うと、光君とメールしているあたしは邪魔になるんじゃないかと 少し悪い気がした。
「あのな、さな」
「…もういいよ。みんな、何も言わないで。
今日で学校祭も終わるんだし、楽しもうよ」
和樹までもがあたしに何か言いたげにしてて。
きっと何を言われても、今のあたしの気分を変える事はできないだろう。
また何か言われる前に占いのお店に入った。
「いらっし…あ。真希じゃん♪」
「げっ!!!!」
後ろから真希の奇声が聞こえてくる。
それもそのはずで。
出迎えてくれたのは、怪しげなヴェールに包まれた安藤さんだった。