小悪魔男子
「行って来まーす!」
ご飯を食べ終え、あたしは大和と一緒に学校へ向かう。
「さなちゃん、今日雨降るらしいよ?傘持った?」
「え?そうなの?忘れた~。
まぁ、真希達と遊んでから帰るし、その頃には止んでるかも。降ってたらバスで帰るよ」
「そっかー…」
大和は普段通りの会話をしてくるけど、
沈黙の度に曇る表情に気づいていた。
「ねぇ、大和」
「なぁに?」
「お家の事、大丈夫だった?」
その質問に、小さな少年はますます体を小さくした。
「大丈夫だよ。僕に見られた事にも気付いてないみたいだったから。
…ってゆーか、顔は合わせても話なんてしないから分かんないけどね」
「………」
聞いて後悔した。
何て言えばいいのか分からないから。
何を言えば大和を元気づけられるんだろう?
間違っても"大丈夫だよ"なんて言えない。
変に期待させてもしょうがないよね‥
「ごめんね。聞くことしか出来なくて……」
「さなちゃんが謝る事じゃないよ!
僕はさなちゃんが居てくれるだけでいいんだ」