小悪魔男子
そのとたん、空気が張り詰める。なんだか分からない汗がじわっと滲むのがわかった。
「あ…あのね、これは…」
なんて言い訳すれば良いのか分からなかったけど、説明する前にお母さんから口を開いた。
「…さな?
いいのよ、何にも言わなくて。
そう…。うちの娘もそんな年頃になったのねぇ~」
一人で腕を組み、納得しているゆいちゃん。
「お母さん…だからこれは…」
「お父さんには内緒にしててあげる。聞いたらショックで倒れちゃうものね!絆創膏か何かで隠しなさいね~ホホホ…」
あたしが何か説明する前に、踊るようにキッチンへと歩いて行ってしまった。
ホホホ…じゃないっての!!
もうこうなったらしょうがないので、黙って部屋に向かった。
ベットに鞄を置き、クローゼットに付いている鏡で首元を見ると、一部だけほんのりとピンク色に染まっている個所がある。
「全く…悩むのはいつもあたしだけなんだから…」
文句を言いながら絆創膏を張り付けた。
そして倒れるようにベットへ寝ころぶ。