小悪魔男子
なんて言ったらいいのか分からなかった。
「…やだな…。
散々ほっとかれたけど…やっぱり親は親だから。
どっちと離れても後悔するだろうな」
その言葉で思い出すのは
大和のお母さんと初めて会った9歳の時の事。
あの優しそうな笑顔―――……
あの笑顔は、大和が小学生になった頃から見かける事は無くなってしまった。
一から会社を立ち上げて、5年経った今ではもう、中圏の企業になったんだ。
それは、凄く頑張っているから成し遂げられた事。
それは解っているけれど
企業が発展していくのに比例して
大和への時間は少なくなっていることに気付いていた。