小悪魔男子
涙 のち 笑顔
目が覚めると
隣に彼の姿は無かった。
「あ…れ…?」
彼の居た筈の場所を手で触ったけど
温もりさえ感じない。
腫れぼったい目を擦りながら時計を見ると
もう10時だった。
着替えをすませ、下に降りると
「おはよう、さなちゃん」
いつものように笑顔で挨拶をする大和がいた。
違うのは、同じように腫れた目だけ。
「…おはよ」
何だか気まずくて、いつものように挨拶出来なかったけど
顔を洗ってくると、本当にいつもどおりの大和に影響されて
あたしも普通に接する事が出来たんだ。
「ゆいちゃん達はいつものアレで出て行っちゃった」
「…我が子ながら本当に羨ましいよ…」
いつものアレ。
それは週に1度のデートだった。
「今日は動物園なんだってぇ!いいなぁ~。僕も行きたかったなぁ~」
こういうところは本当に子どもらしくて可愛い。
「動物園は行き方分かんないけど…遊園地、行ってみる?」
あたしの言葉で途端に明るくなる大和。