小悪魔男子
これだけ人が居れば、当然待ち時間も長い。
「げっ。ジェットコースター25分待ちだって!やめとかない?」
「大丈夫。話してればそんなのすぐだよ♪」
そう言って、彼はさっさと列の後ろに並んでしまった。
「さなちゃ~ん、早くぅ~」
…今更言えない…。
絶叫系は苦手なのに…
でも、あたしからここに誘ったんだし、ね。
心の中で自分に言い聞かせながら
重い足を引きずって歩き出した。
―――……それから25分。
大和に何を話しかけられても曖昧に答えることしか出来なかった。
何で嫌な事が起きる前って早く時間が過ぎちゃうんだろ?
気付いたらもう、座席のレバーに身体が挟まれて
逃げる事なんて出来なくなっていたんだ。
「楽しみぃ~♪」
「うぅ…」
ヤバい。
既に気を失いそうだ……