小悪魔男子



これだけ人が居れば、当然待ち時間も長い。



「げっ。ジェットコースター25分待ちだって!やめとかない?」


「大丈夫。話してればそんなのすぐだよ♪」



そう言って、彼はさっさと列の後ろに並んでしまった。



「さなちゃ~ん、早くぅ~」






…今更言えない…。



絶叫系は苦手なのに…




でも、あたしからここに誘ったんだし、ね。



心の中で自分に言い聞かせながら


重い足を引きずって歩き出した。



―――……それから25分。



大和に何を話しかけられても曖昧に答えることしか出来なかった。



何で嫌な事が起きる前って早く時間が過ぎちゃうんだろ?



気付いたらもう、座席のレバーに身体が挟まれて


逃げる事なんて出来なくなっていたんだ。



「楽しみぃ~♪」


「うぅ…」



ヤバい。



既に気を失いそうだ……






< 63 / 346 >

この作品をシェア

pagetop