小悪魔男子
「大和!」
「…何であんたが居るんだ?」
うっわー…。睨み合ってるよ。
「俺は家族と来ただけだ。保育園の妹の為にな」
「…ふーん。それは分かったけど、いい加減離れたら?」
「わっ!」
あたしまだ和樹にくっついてたのか!
すぐに離れると、和樹が少し哀しげな顔でこちらを見てきた。
な…何?
けど、その視線はすぐに外された。
「お前、コイツがどんな目にあってたか分かるか?」
「…何かあったの?」
大和はあたしに尋ねてくる。
「う…ん。大和が行ってすぐに、怖そうな男の人達に囲まれちゃって…。
怖かったけど、和樹が来てくれたから助かったの!」
"心配しないで"
そういう意味を込めて笑顔で答えたのに
彼は 「…そうなんだ」
とだけ言って、スタスタと歩いて行ってしまった。
「えっ?あたし何かマズい事言ったかな?」
混乱しながらも、後を追おうとしたんだけど
「待って」
和樹に腕を掴まれて引き留められてしまった。