小悪魔男子
一瞬、倒れそうな位に胸が高鳴った。
知りたくない気持ちが溢れそうになっている。
「…ッは?
何言ってんの?大和の事は弟みたいに…」
「気持ちから逃げるな」
腕を握る力が強くなった。
「…俺は、自分の気持ちから逃げ続けてた。
好きだって認識したのはついこの間だったんだ。
"心配だから"
"友達だから"
守ってきた理由はそうだと信じてた。
けどそれは
本当の気持ちを知りたくなくて
友達の関係を壊したくなくて
ずっと知らないフリをしてただけなんだ。
―――本当はそんな理屈じゃない
ただ好きだから。
だから側にいて守ってるんだって、やっと気付けたんだ。
そう思ったら自分が好きになれた。
振られても後悔はしない。
そう思えるようになれたんだよ。
――さな。
逃げてたら何も変わらない。
いいか?
気持ちは理屈じゃないんだ。
正直になれ。
俺は、自分以上にお前が幸せになることを願ってるんだ」
涙が
地面を濡らした―――――……………