小悪魔男子
無理やりに近い形で中に押し込まれると同時位に外の鍵がかかった。
観覧車は、ゆっくりと上昇していく。
「どういうつもりな……!!!」
”の”を言い終える前に、あたしの唇は塞がれてしまった。
「ん…!!!」
乱暴なキス。
大和はついばむ様に、何度も 何度も唇を重ねてくる。
「やま…と…」
やっと声に出せた時、彼は“はっ”とした顔で「ゴメンナサイ」と呟いた。
そしてぐったりした様にうな垂れてしまったんだ。
「僕…必死で…。あいつにさなちゃんを取られるんじゃないかって思って…。それでこんな事……」
いつもの口調に戻った彼。
「…それは大和の勘違いだよ。
あたしはどこにも行かない。大和から離れたりしないよ…?」
怒りなんてなかった。
だって、彼の行動はあたしを思ってのことだとわかっていたから。
小さく震え、泣いている彼をそっと抱き締める。
和樹に言われた事の意味を考えながら―――――――――。
夕日は 私達を静かに照らし続けていた。