振り返る日々

前期試験の時期、私は恋をした。
一目惚れだった。
学生会館にいつものようにタムロしていると、背の高い涼やかな目をした男子生徒が私達のテーブルに近付いてきた。
「あ！藤田先輩！」
塚田君がその男性に向かって手を振った。
「おう、塚田君、綺麗な女の子に囲まれてええ身分やんか」
藤田先輩と呼ばれた先輩はニッコリと微笑んだ。
「え〜どこがっすかぁ〜先輩目が悪いん違います〜」
と答える塚田君にテーブルの下でこっそりワンパン喰らわせた。
藤田先輩は塚田君と二言三言軽口を叩きあい、その場を離れた。
藤田先輩の姿が見えなくなるのを確認してから私は塚田君に詰め寄った。
「ちょっとちょっと！塚田君！誰あの人！目茶苦茶カッコエエやんかぁ！」
「えっ、そうかぁ。ジーパンの丈がちょっと短すぎるやろ。」
と横から順子が茶々を入れる。
「うるさいうるさい！ジーパンの丈なんかどうでも良いねん！それだけ足が長いって事やんか！あ〜Just　my　type！素敵やったわ〜。」
私の勢いに圧倒されたかのように塚田君が口を開いた。
「わかったわかった。今度きちんと紹介したるわ！」
「やったぁ！！さすが塚田！！男前〜。コーヒーおごったげるっ。」
順子と塚田君は呆れたように顔を見合わせて笑った。