薔薇姫-another story-
あれは、いつだったか。
貴族生まれの俺は、やっぱり貴族の女と恋に落ちて。
そのまま結婚し、二人の子を授かった。
俺の名前に近づけたくて、二人の息子には、それぞれ『レオ』『ネオ』と名付けた。
それを嬉しがっていた俺に、妻が「親バカみたい」と微笑んだのを、今でも覚えている。
もともと病弱だった妻は、二人目のネオを産んですぐに、息を引き取った。
ネオは、母親のことなんかこれっぽっちも覚えてないんだろうな。
弟の誕生と、母親が亡くなる姿を目の前で見ていたレオは、当時20歳。
人間でいうと、2歳。
そんな幼かったレオは、その日を境に、一切泣き言を言わなくなった。
俺としては、そんなレオの成長が嬉しかったし、誇りに思っていた。
けど、どこで間違えたのか。
どんどんひねくれていくし、俺の愛情を目の前で踏みつけるようになった。