薔薇姫-another story-

そんなレオの素直な反応に、俺は心の中で苦笑した。


…何で心の中かって?


表に出したら、レオにしばらく口利いてもらえなくなるからな。


「…ほっとけ」


レオはそう言うと、あからさまに俺に背を向けた。


全く、困った息子だ。


けど、そんな息子に良い影響を与えたのは―――…



「レオ―――?」



彼女の声は、凛と廊下に木霊する。


レオはその声にピクリと反応すると、振り返り、俺のさらに後方を見た。


彼女の姿を確認すると、レオの表情が和らいだ。


「メイ」


愛おしそうに、彼女の名前を呼ぶ。


そんな息子の姿を、俺は羨ましく思った。



レオに良い影響を与えたのは、一人の人間の少女。


それも、俺たち貴族を一時期絶望へ追いやった…薔薇姫の子。



結ばれてはいけない。


そんな二人が惹かれ合ったのは、運命だったのかもしれない。



< 47 / 56 >

この作品をシェア

pagetop