薔薇姫-another story-

そんな例外な出来事が起こり、さらに注目されたのが、少女の瞳。



―――透き通るような蒼。



不可能の代名詞とされている蒼い薔薇。


その蒼い瞳を持つ少女が、突然魔界に現れた。


…これは、魔界を揺るがすには十分すぎる出来事だった。



少女が魔界に来てから、魔界は著しく発展した。


そのうち彼女は城に呼ばれ、貴族の代表としてその場にいた俺の兄貴に出逢い…二人は恋に落ちた。



平和の象徴を示す"紅"と幸福を呼ぶ"蒼"。


この二人が一緒にいることで、魔族は安心し、魔界も安定していた。


実際俺も、幸せそうな二人を見ているだけで嬉しかった。



…けど、兄貴は真面目すぎた。


思ってはいけないことを、思ってしまったんだ。



魔族と人間は、一緒にいてはいけない、と。



悲しくもその考えが、この先の貴族の運命を、大きく変えることになった。



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