薔薇姫-another story-
次期魔王候補であるレオには、特に世間から向けられた目は大きかった。
そんな中でも何も言わず、平然と過ごすレオに、俺は何度も心の中で感謝した。
レオとネオは、俺が護る。
そう誓いを立て、俺は日々を過ごしていた。
…レオの中に秘められた想いに気づかずに。
歴史は繰り返す、と誰かが言っていた。
まさにその通りで、俺が旅行と偽り各地の調査を行なっていた間に、最悪な出来事が起きていた。
―――"薔薇姫の子"。
蒼い瞳を持つ少女を目にしたとき、身体中に戦慄が走った。
俺が最も恐れていたことは、"薔薇姫の子"が俺たちの前に現れることだった。
それだけでも強く衝撃を受けた俺に止めを刺したのは、レオの一言だった。
『俺は、メイを嫁にする』
過去と同じ過ちを、自分の息子が繰り返そうとしている。
何としてでも食い止めなければ、と思った俺は、強行手段に出た。