薔薇姫-another story-
自分の意志を強く持ったら意地でも曲げないレオに、何を言っても無駄だった。
だから俺はレオを自室に魔術で閉じ込めた。
その間に少女の部屋へ行き、レオと離れるように催促した。
これが、正しいんだと思った。
俺たちの幸せのためには、これが一番いいんだと。
翌日、少女は俺に人間界へ帰ると告げた。
レオが部屋を逃げ出したことを知っていたから、二人で抗議をしに来ると思っていた俺は驚いた。
けど、これは良いこと。
そう頭に強く叩き込んだ俺は、少女をすぐに人間界へ帰したんだ。
その後のレオは、見れたもんじゃなかった。
以前の覇気はないし、表情も曇ったまま。
明らかに原因が彼女であることがわかった。
レオがそこまで惚れ込んだ相手。
実際、少女を人間界へ帰す時にレオが少女に見せた笑顔は、俺が一度も見たことがない笑顔だった。
その瞬間、俺の中の何かが揺らいだのは確かだった。