大輔兄さんとボク
「ヌオー!」ユウヤが叫ぶ
「ウオー!」ボクもつられて叫ぶ。
「アワビー!」なんて、気の利いた言葉は出てこない。

衝撃と笑劇。

グロテスクだが、人生観を変えてしまうほどのエロスは、
確かに、そこにあった。

タダトシ君は、ちら目でビデオを見ながらも
「本当にもう、帰ってきちゃうよ!」
と外の様子が気になる様子。

そんな彼の様子を気にすることもなく、
ボクは息子をまさぐっていた。
オナニーのやり方なんて、どこで覚えたのかわからない。
聞いたこともない。

だが、さかのぼること二歳の時、夫婦ゲンカをして、
一人寂しく寝室で眠る親父が、こっそりとアソコを
まさぐる姿を、ボクは目の隅に焼き付けていて・・・

んなわけない。

本能ってやつだろう。
人間はサルじゃない。
自分が気持ちよくなる方法は自分で見つける術がアル。


「帰ってきちゃうよー」
嘆くタダトシ。
「ヌオー」
叫ぶユーヤ。

そして、無言でまさぐり続けるボク。
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