からっぽ
運命

俺は

俺は、黒原恵太。

中学3年の、14歳。

家族は父親・兄・そしてペットのライ。

母親は、3年前に事故で死んだ。

母親が死んだことで、俺はだんだん荒れていった。

今じゃ、外見・心・ともに悪いやつらとつるんでいる。

正直、このグループからは早く抜けたい。

今の自分が嫌で嫌でしょうがない。

リストカットも何回したことか。

受験もしない。

高校に行く気もない。

でもある父親の一言を思い出したのがきっかけで、ちょっとは勉強しようと思った。

その一言は。

俺が、一番荒れ狂っていたとき、父親が冷静に一言一言をゆっくりしゃべり、しんちょうに言葉を選びながら、話した。

『俺は、お前が知っている通り、中退だ。しかも、18歳でお前のお兄ちゃんをお母さんが産んだんだ。俺は、愛実の両親に何度も謝った。でも許してくれなくて、愛実は両親と縁を切ったんだ。あ、お前俺が中退した理由。知ってるか?愛実のために働くためだったんだ。』

愛実(めぐみ)とは母親の名前。

父親と母親は結構仲がよかった。

結構というか、だいぶ?

まるで、いつまでも新婚のようだった。

俺はここらへんで聞くのが疲れた。

寝ようとしたら、父親の力強い手で、父親の方にむかされた。

『俺は必死に働いて、金も200万くらいためた。でも両親は許してくれなかった。だから、あきらめて、愛実と凌希(りょうき)を守ることにしたんだ。そして、4年経った時、お前が産まれた。すくすくと育つ姿がおもしろくてたまらなかったなぁ』

なぜか思い出を語る父。

『お前が11歳ん時だったかなぁ~。凌希の誕生日プレゼントに犬を飼いに行こうつって、車で出かけたの。ライ飼った後、帰るときに、トラックさえ来なければっ・・・。』

そう。母親が死んだのは、ライを買いに行った帰りだった。

超安全運転してた父を、母は、楽しそうに見ていた。

赤信号で止まった父は青信号になるのを待っていた。

なぜか遠くが騒がしいと、車内で盛り上がった。



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