leaf
5


あの日は結局、玄関の扉の音がして、あなたが出て行ったのを確認してから、動きだした。

シャワーを借りて、服を着替えて。

リビングのテーブルの上、今までに貰ったもの全部(といっても指輪とネックレスだけ
で、いつもつけていたけど…)置いて。

少し前に貰った合鍵で鍵をかけて、ポストから鍵を部屋の中に滑り込ませた。

1階に降りるエレベーターの中で、アドレス帳から名前を消した。

外に出た瞬間、あなたとの思い出全部、消去した。




これで、全部終わったはずだった。

何度か見覚えのある番号から届く、コールとメール。

どっちも出ないし、見ない。

開けてしまえばきっと、戻りたくなって、苦しくなるから。

だけど、いつからかあなたに馴らされた体だけは、ときどき熱を持って私の心を苦しめる。


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