KISSKISS-セカンド-
「久しぶりだな」
出来損ないの弟に送る軽蔑の眼差し。
相変わらず冷たい目…
「…ですね」
「シェイラの歌声は最高だった…お前の下手くそなピアノさえなければな?」
―…あんたは昔からそうやって俺を認めようとはしない。
お互い敵意を剥き出しにしている俺達を周りの人間が怪訝そうに見ていた。
「悠斗…あっちにお酒用意してるから行こ?」
シェイラが気を使い誘ってくれる。
お前の為の打ち上げ駄目にしちゃいけねぇよな?
「俺は、あんたら家族みたいに音楽を純粋に愛せない人間にはなりたくないから家を出た。今の自分を恥じてはいません…」
こんな事を兄貴に言っても無駄な事ぐらい分かってる。