KISSKISS-セカンド-

タクシーがなかなか捕まらず雨の中を走った。


携帯を握り締めて正木の待つ病院へ…


―…アイツは抜けてるから滑って転んだだけ。


―…自転車から落ちて足を骨折しただけ。


―…バイト先で…


嫌な胸騒ぎを掻き消すようにそんな事を考えた。


―…大した事はない。


病院につけば俺に"ごめんね"って悲しそうに笑う正木がいる。


走りながら正木の携帯を何度、鳴らしても虚しく呼び出し音だけが聞こえた。


< 121 / 160 >

この作品をシェア

pagetop