KISSKISS-セカンド-
タクシーがなかなか捕まらず雨の中を走った。
携帯を握り締めて正木の待つ病院へ…
―…アイツは抜けてるから滑って転んだだけ。
―…自転車から落ちて足を骨折しただけ。
―…バイト先で…
嫌な胸騒ぎを掻き消すようにそんな事を考えた。
―…大した事はない。
病院につけば俺に"ごめんね"って悲しそうに笑う正木がいる。
走りながら正木の携帯を何度、鳴らしても虚しく呼び出し音だけが聞こえた。