KISSKISS-セカンド-
「誰があんたなんかと!!」
顔を真っ赤にしたかと思うと力任せに俺を跳ね除ける。
マジになるなよ…
冗談じゃねぇかよ…
今にも泣きそうになって唇を噛みしめる。
―…いじめっ子みたいじゃね?
からかったりするんじゃなかった。
誕生日に女を泣かせたなんて男の風上にも置けない。
俺達の間に流れる空気を変えるように聞いた。
「…で?何のお願いを聞けばいいの?」
こんなんで機嫌が直るとは思ってねぇけど…
赤く充血した瞳で俺を見つめた。
「…ピアノ弾いてよ」
ピアノなんて聞き飽きてるだろ?
だけど、まぁコイツがそれで満足するなら構わない。
指がちゃんと音楽を奏でられるのか、それだけ気になった。