KISSKISS-セカンド-

ある場所に案内され俺が見たのは大きなグランドピアノが部屋の真ん中に置いてあった。


長い時間、弾いてもらえなかったらしく埃を被っている。


―…ピアノに触れるなんて久しぶりだな


「音は狂ってねぇのかな?」


「さぁ…長い時間弾いてないからねー…ダメかもよ」

蓋を開けてポーンと指で押してみると懐かしい音に切なくなった。


ガキからのリクエストはベタに誕生日の歌。


しかも、ちゃんと歌わなきゃいけないらしい…


歌いながらピアノを弾くなんて、した事ねぇよ…


だけど、ガキの期待した嬉しそうな顔に何も言えずピアノを弾いた。


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