許婚は生徒さま
あたしが居間でお茶を飲んでいると、ピンポーンとチャイムの音がした。
お母さんが「はいはーいっ」って玄関の方へ走って行くのをみながら、
あ…このチャイムの音久しぶり…
なんてのんきな事を考えてた。
少し離れるとちょっとしたことが懐かしく感じられんるんだよね。
少しだけ感傷に浸っていると、いつのまにかお客さんは居間に通されたようで、
「こらっ、愛音ったらご挨拶しなさい」
ってお母さんに小突かれた。
「こんにちは、愛音ちゃん」
あたしの座るソファーの横に立った綺麗な人がにっこり微笑んだ。
なかなかの美人で歳は大体お母さんと同じくらいかな?
「あ、初めまして。篠崎愛音です」
あたしも慌てて立って挨拶した。