許婚は生徒さま



あたしが居間でお茶を飲んでいると、ピンポーンとチャイムの音がした。


お母さんが「はいはーいっ」って玄関の方へ走って行くのをみながら、

あ…このチャイムの音久しぶり…

なんてのんきな事を考えてた。
少し離れるとちょっとしたことが懐かしく感じられんるんだよね。



少しだけ感傷に浸っていると、いつのまにかお客さんは居間に通されたようで、


「こらっ、愛音ったらご挨拶しなさい」


ってお母さんに小突かれた。


「こんにちは、愛音ちゃん」


あたしの座るソファーの横に立った綺麗な人がにっこり微笑んだ。
なかなかの美人で歳は大体お母さんと同じくらいかな?


「あ、初めまして。篠崎愛音です」


あたしも慌てて立って挨拶した。


< 6 / 31 >

この作品をシェア

pagetop