図書館で会いましょう
「もっしもーしじゃないわよ!」
由美は怒鳴るように言う。電話の向こうな真理子が携帯を耳から離すほどの声だった。
「いきなり何よぅ?」
真理子は事態を収拾できていない。由美は一回怒鳴った後、息を落ち着けた。
「何で取材のこと話してくれないのよ?」
その言葉で真理子は事態を把握する。
「ごめんごめん。急に決まってね。由美にも言おうと思ってたんだけど取材で出てて連絡できなかったのよ。」
真理子はまた楽観的な声で話す。悪気がまったく感じられないのはいつものことだった。
「でも…」
そんな真理子の声に由美は言葉が続かなかった。
「そっちのほうに取材で行くのは前に決まってたんだけどね。新しくできた総合図書館って言うの?全国的にも珍しいから取り上げようってね。」
「確かに…そうだけど…」
由美の声はどんどん小さくなる。真理子は電話の向こうの由美が拗ねた子犬のようになってるんだろうと想像していた。実際にそうだった。
「由美の仕事っぷり、見せてもらうからね。」
「でも…」
「自信ないの?」
「自信がなければこういう仕事しないよ。」
真理子の挑発に思わずムキになってしまう。
「じゃあ何なの?」
「恥ずかしいの!」
由美は昔から人前に出るのを恥ずかしがる。大学の文化祭とかでめ裏方ばかりやりたがっていた。由美らしい理由だなと真理子は自然と笑顔になった。
「大丈夫よ。」
急に優しい声になる。
「何でよ?」
由美の声は拗ねていた。
「電話で受けてくれた館長さん、素晴らしい内容ですからぜひ見てくださいって言ってたよ。」
「館長が?」
「そう。素敵な司書がいる図書館をぜひとも色んな人にしってほしいってね。」
「館長が…」
真理子の話に由美の瞳は熱いものを感じた。たぶん今の話のことを館長は自分には話してくれないだろう。それでも館長の優しさに触れたような気がした。
「というわけで行くからね。楽しみにしてるよ。」
「うん…」
その後はたわいもない話をして電話を切った。由美は台所で紅茶の缶を手に取り、それを鞄の中に入れた。明日、館長にお礼とお詫びを言う代わりに取って置きの紅茶を入れてあげようと考えていた。
由美は怒鳴るように言う。電話の向こうな真理子が携帯を耳から離すほどの声だった。
「いきなり何よぅ?」
真理子は事態を収拾できていない。由美は一回怒鳴った後、息を落ち着けた。
「何で取材のこと話してくれないのよ?」
その言葉で真理子は事態を把握する。
「ごめんごめん。急に決まってね。由美にも言おうと思ってたんだけど取材で出てて連絡できなかったのよ。」
真理子はまた楽観的な声で話す。悪気がまったく感じられないのはいつものことだった。
「でも…」
そんな真理子の声に由美は言葉が続かなかった。
「そっちのほうに取材で行くのは前に決まってたんだけどね。新しくできた総合図書館って言うの?全国的にも珍しいから取り上げようってね。」
「確かに…そうだけど…」
由美の声はどんどん小さくなる。真理子は電話の向こうの由美が拗ねた子犬のようになってるんだろうと想像していた。実際にそうだった。
「由美の仕事っぷり、見せてもらうからね。」
「でも…」
「自信ないの?」
「自信がなければこういう仕事しないよ。」
真理子の挑発に思わずムキになってしまう。
「じゃあ何なの?」
「恥ずかしいの!」
由美は昔から人前に出るのを恥ずかしがる。大学の文化祭とかでめ裏方ばかりやりたがっていた。由美らしい理由だなと真理子は自然と笑顔になった。
「大丈夫よ。」
急に優しい声になる。
「何でよ?」
由美の声は拗ねていた。
「電話で受けてくれた館長さん、素晴らしい内容ですからぜひ見てくださいって言ってたよ。」
「館長が?」
「そう。素敵な司書がいる図書館をぜひとも色んな人にしってほしいってね。」
「館長が…」
真理子の話に由美の瞳は熱いものを感じた。たぶん今の話のことを館長は自分には話してくれないだろう。それでも館長の優しさに触れたような気がした。
「というわけで行くからね。楽しみにしてるよ。」
「うん…」
その後はたわいもない話をして電話を切った。由美は台所で紅茶の缶を手に取り、それを鞄の中に入れた。明日、館長にお礼とお詫びを言う代わりに取って置きの紅茶を入れてあげようと考えていた。