先生とあたしの恋
『沙織…聞いてる?』
「え…?あ……うん…聞いてるよ…お父さん、大丈夫なの?」
携帯を握る手が震えてきて
お母さんの声がよく聞こえない…。
何度も「えっ…?なに…?」を繰り返した…
「藤井?どうした?」
気づけば、先生が
運転席に座ったまま、あたしの顔を心配そうな顔で見つめていた…。
『沙織…しっかりしなさい…』
受話器から聞こえてくる声に
「うん…うん…」を繰り返した…
『沙織…とにかく帰ってきて…大丈夫…お父さん、ちゃんと生きてるから…ごめんね、沙織…せっかくのクリスマスなのに…ごめんね…』
「ううん、お母さん…謝らないで…あたし、今からすぐに行くから、どこの病院?」
『中央病院よ。』
「中央病院ね、分かった…待ってて、お母さん、今…行くから…」