先生とあたしの恋

『沙織…聞いてる?』

「え…?あ……うん…聞いてるよ…お父さん、大丈夫なの?」


携帯を握る手が震えてきて


お母さんの声がよく聞こえない…。


何度も「えっ…?なに…?」を繰り返した…


「藤井?どうした?」

気づけば、先生が
運転席に座ったまま、あたしの顔を心配そうな顔で見つめていた…。

『沙織…しっかりしなさい…』


受話器から聞こえてくる声に


「うん…うん…」を繰り返した…


『沙織…とにかく帰ってきて…大丈夫…お父さん、ちゃんと生きてるから…ごめんね、沙織…せっかくのクリスマスなのに…ごめんね…』


「ううん、お母さん…謝らないで…あたし、今からすぐに行くから、どこの病院?」


『中央病院よ。』


「中央病院ね、分かった…待ってて、お母さん、今…行くから…」





< 347 / 423 >

この作品をシェア

pagetop