先生とあたしの恋

沙織side

病室に戻ると

「お父さん!お父さん!」と手を握りながら

何度も、お父さんに語りかけるお母さんの姿。

「お母さん!?どうしたの!?」

「沙織!お父さん、お父さんの指が、今、ピクンって動いたのよ!」


「えっ!?」



あたしもすぐに、近寄り

右手を握りしめ


「お父さん!お父さん!起きて!目を覚まして!」と何度も叫んだ!



そして…








「さ…おり…」




「お父さん…」


「あなた……」



「おかあさん…どうしたんだ…?そんなかお…して…」



「お父さん…そんな顔って…ないですよ…心配…したんですよ……」



そう言いながら、泣き崩れるお母さんの手を

ギュッと、握りしめるような仕草で


お母さんを見つめる瞳には

今まで見たことがない

父の涙が光っていた…





< 374 / 423 >

この作品をシェア

pagetop