先生とあたしの恋
「おっ、藤井、足、もういいのか?」
「うん、先生。先生のおかげで、だいぶ楽になったから、保健室の先生から、湿布もちゃんと貼ってもらったから、大丈夫だよ。」
「そうか。良かったよ。安心した。」
そう言って、いつものように笑う先生の笑顔が
今のあたしには、とてつもなく遠い存在の人の笑顔に思えた…
だけど…
「はい、これ。」
閉じてた、手のひらをそっと見せた。
「おっ、四つ葉のクローバーじゃないか」
「うん。これ、先生にあげるね。」
「えっ!?いいのか!?」
「うん。助けてくれた、お礼だから。」
先生に、幸せになってもらいたい。
「いいのか?見つけるの、大変だっただろう」
「大丈夫。あたし、運いいみたいだから、すぐに見つかったし」
また、ウソ
カナリ真剣に見つけたよ。
「そうか…?じゃあ、ありがとう、大事にするからな。」
そして、先生の長く細い指が
あたしの手のひらに、少し触れて
四つ葉のクローバーを折れないように
大事そうに摘むと
スッゴく、カッコいい笑顔で
「ありがとう」って
言ったんだ。
あたしは、その笑顔を見れただけで充実だよ、先生。