ドール
俺はラスを撫でながら(ラスはシェットランドシープドックだ)さっきのことを奈美に聞いてみた。
「ねぇ、奈美はなんで家政婦になったの?」
奈美は一瞬、眉をしかめたが、いつもの辛そうなポーカーフェイスになった。
俺は奈美のその顔が嫌いだ。
せっかく綺麗なのに、そんな顔したら台無しだしねっ
「別に。私の都合よ」
「お前の両親の都合だろ」
奈美の言葉に翔が反論した。
奈美は目を見開く。
「…っなんで知ってるの」
「いや、ハッタリ」
やっぱりな。
奈美は翔をキッと睨んだ。
「知らないくせにそんなこと言わないで。」
その言葉には、たくさんの意味があったんだ…。
それを知ったのは、結構あとだけど。