ドール
Do-lu-奈美サイド-
「でてって。」
私は秀様と翔様に冷たく言い放った。
翔様はおとなしく、
「いたくもねぇよ」
と言って出て行ったが、秀様はその場にとどまった。
「知らないからさ、教えてよ」
「秀様。 私は家政婦兼家庭教師です。そんなヤツに秀様が興味を示すことなど許されないことです。どうか私にはお関わりの無いようにしてください。関わってよいことなどありません。」
私は冷静に言った。
秀様………。
やっかいな持ち主に拾われたものだわ。
「じゃあ出て行くからさ、一つ約束していい?」
煩いヤツ。
「何なりと。」
「お袋の前以外では俺と翔は呼び捨て。敬語禁止。ok?」
っざけんな。
いまさらそんな生ぬるい感情いらない。
私は今まで私という人形の持ち主と、敬語という壁を作って生活していた。
その壁をこんなヤツに崩されてたまるものか。
私は息を吸った。
そして、今のことを言おうとした瞬間____
「わた「だめ。」
翔様が私の言葉を遮った。
「それ守らないとこの家においておかない」
………べつにいい。
いっそのこと追い出してもらいたい。
そう言うのをこらえて、私は仕方なく頷いた。
「仕方ないわ。」