ふたつの指輪
(あ……)



見上げたら、どこか寂しげなやさしい笑み。



ズキン。


なぜか胸がちくりと痛んだ。




「今日は仕事で疲れた。

俺はシャワーして寝る。


おまえも適当に寝ろ」


ビール缶を置くと、きっぱりとそう言って、両手でパンとヒザを叩く。



そのまま、着替えを取り出して、シャワーへ向かう。


やがて、ザーというシャワーの音が聞こえてきた。





しばらくして、パジャマ姿でタオルで頭をがしがし拭きながら出てきた尊さんは。


そのままドサッとベッドに倒れ込むと、あたしに背を向けて毛布をひっかぶって、力強く宣言した。



「寝る!」
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